【話題の本】『官僚たちの夏』城山三郎著
■没後も揺るがぬ人気
終戦からわずか10年で、「もはや『戦後』ではない」と経済白書で宣言するほど、力強く立ち上がった日本。
希有(けう)の成長を陰で支えた通産省(現経産省)では、2派が激しくぶつかり合っていた。
自由化を進め外資に挑もうという「通商派」と、国内産業を保護してまずは体力をつけようという「産業派」。主人公は後者で、実在の人物がモデルである。
《あらゆる業界で過当競争が行われている。その状態で自由化すれば、弱者のみならず強者までも外国資本の餌食となり、日本経済そのものが淘汰されかねない》。この保護政策が、GNP(国民総生産)が4倍以上になった高度経済成長の時代を後押しした。
一方の通商派は《国際経済の嵐にもまれて、のびるべき企業はのびれば(中略)競争のメカニズムの中で弱者は淘汰されるが、経済そのものは健全な体質になっていく》。小泉改革を見越した議論を、作者の城山は、30年以上も前に早くも描き出している。
米資本の大攻勢を前に、統制色を強めながら抵抗し、やがて各国と伍(ご)していくフランスも登場する。これら経済官僚の姿に、現代の政治家、経産官僚、私たちは何を学ぶのだろう。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090822-00000032-san-ent
